静岡県教育委員会

“ふじのくに”の未来を担う「有徳の人」づくり

Eジャーナルしずおか第269号(抜粋)令和6年3月発行

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ページID1061430  更新日 2024年3月8日

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静岡県SDGsスクールアワード2023 表彰式開催!~児童生徒から広がるSDGsの取組~

写真:表彰式集合写真

写真:表彰式集合写真

 持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた、児童生徒による地域課題解決の取組を推進し、県内にSDGsの理念を広く根付かせることを目的として、県内の児童生徒の取組を募集した結果、147チームの応募がありました。
 2月9日(金曜)には、静岡市葵区の札の辻クロスホールにて表彰式を開催し、優秀な取組に、県教育長賞、優秀賞、企業賞を授与しました。また、昨年度の受賞校の現在の取組や、企業との連携について紹介しました。
 受賞校の取組を参考に、身の回りの課題の解決へ一歩踏み出して、県内にSDGsの実践を広げていきましょう。

小学校の部

県教育長賞

「牧小4年のSDGs~知って考えやってみる~」 牧之原市菊川市学校組合立牧之原小学校(4年生)

写真:取組の様子

 SDGsについて学び、「学校の中でできること」「家で家族とできること」の2つの視点から話し合いを行いました。市の環境課、長寿介護課、県産業廃棄物課の方々から、さまざまな課題や取組を教えていただき、自分たちもゴミの分別、水や電気の節約、食品ロスをなくすなど、実践的な活動に主体的に取り組みました。
 また、大勢でやることで大きな結果につながっていくことを感じ、他学年等にも発信し取組が全校に広がっています。

優秀賞

「ぼくたちSDGs広め隊」 富士宮市立大富士小学校(5年生)

優秀賞

「原から未来へ ~次の世代の豊かさにつなぐ」 沼津市立原小学校(児童会)

中学校の部

県教育長賞

「フードパントリーに協力して住みよい街づくりに貢献しよう」 焼津市立大富中学校(生徒会)

写真:取組の様子

 地域や学校がもっと元気になるために、中学生として何ができるか考え、焼津市の地域団体が企画したイベント「フードパントリー」に生徒会で協力することにしました。全校生徒に放送やチラシで呼びかけを行い、家庭で余っている食品を集めました。集まった食品をイベントに提供するとともに、イベントにも参加し、地域の方と一緒に活動することができました。
 今後も、地域とのつながりを大事にして、地域活動に積極的に参加したいと考えています。

優秀賞

「GDC2023(暁秀デニムコレクション2023)」 加藤学園暁秀中学校(2年生1組~3組)

優秀賞

「マイクロプラスティックの危険性」 沼津市立第四中学校(佐野さん)

高等学校の部

県教育長賞

「自然の魅力を伝えたい 高校生スポーツビーチクリーン実行委員会」 オイスカ浜松国際高等学校(環境SDGsプロジェクト)

写真:取組の様子

 気軽に楽しめるスポーツ・ゲーム形式のビーチクリーン活動を継続して実施し、浜松市との連携の下、「高校生スポーツビーチクリーン実行委員会」を発足するとともに、「浜松市ビーチ・マリンスポーツ推進協議会」に加盟し、現在では、民間企業と連携して4種類の作業種目等による定期的なイベントを開催しています。
 今後も、自然豊かな浜松の魅力を発信し、参加校を増やすとともに、スポーツと健康、笑顔をテーマに、高齢者の方も気軽に参加できる環境ボランティア活動にしていきたいと考えています。

優秀賞

「住み続けられる三島の街を」 加藤学園暁秀中学校・高等学校(三島大通り商店街ボランティア)

優秀賞

「農業によるSDGs教育を目指して」 県立静岡農業高等学校(農育プロダクション「いきものがかり」)

特別支援学校の部

県教育長賞

「Qちゃんが地球を救う!」 県立富士特別支援学校(高等部 再生事業班)

写真:取組の様子

 作業学習で製作している「Qちゃん(油吸収材)」について吸収実験を行い、中に入れる古新聞の加工方法により吸収力が違うことを実感し、掲示物にまとめました。
 また、企業のSDGsに関する出前講座を受講し、「Qちゃんを使ってもらうこと自体が、地球(海)のためになる」と気付き、受注生産を始めたり、地域での販売会では、自分たちのアイディアでビニール袋から紙の包装に変えたりと、環境に優しい工夫を重ねています。
 今後も、「Qちゃん」の製造と販売を通じて、SDGsの大切さを伝えていきたいと考えています。

優秀賞

「作業学習での取組~人に喜ばれるものへ~」 県立静岡北特別支援学校(高等部)

優秀賞

「ひとがずっと ちきゅうがずっと」 県立浜松視覚特別支援学校(幼小学部)

企業賞

「企業賞」授与企業

受賞校

ELFIE GREEN 株式会社

県立静岡農業高等学校

あいおいニッセイ同和損害保健株式会社

城南静岡高等学校

イオンリテール株式会社 東海カンパニー

加藤学園暁秀中学校

株式会社エスパルス

県立清水特別支援学校

株式会社杏林堂薬局

オイスカ浜松国際高等学校

株式会社静岡銀行

オイスカ浜松国際高等学校

株式会社セブン‐イレブン・ジャパン

県立静岡北特別支援学校

株式会社天神屋

県立焼津中央高等学校

株式会社日本政策金融公庫静岡支店

加藤学園暁秀中学校

株式会社ローソン

牧之原市菊川市学校組合立牧之原小学校

静岡県JAグループ

県立静岡北特別支援学校

静岡ブルーレヴズ株式会社

浜松開誠館中学校・高等学校

ジヤトコ株式会社

沼津市立第四中学校

損害保険ジャパン株式会社

牧之原市菊川市学校組合立牧之原小学校

第一生命保険株式会社

沼津市立第四中学校

東京海上日動火災保険株式会社 静岡支店

県立沼津特別支援学校

日本生命保険相互会社

県立駿河総合高等学校

浜松光電株式会社

加藤学園暁秀中学校・高等学校

マックスバリュ東海株式会社

県立駿河総合高等学校

三井住友海上火災保険株式会社

沼津市立原小学校

明治安田生命保険相互会社

県立駿河総合高等学校

米久株式会社

富士宮市立大富士小学校

リコージャパン株式会社 デジタルサービス営業本部静岡支社

県立富士特別支援学校

 

実践NOTE535

3つの資質・能力の育成を目指す 効果的なパフォーマンス課題とルーブリック評価の設定

浜松市立江南中学校 教諭 平野 佑樹

単元学習前に、単元を貫くパフォーマンス課題(大)を設定&掲示

写真:理科室掲示の工夫
理科室掲示の工夫

 私は生徒に対し、これから展開される授業に見通しをもって取り組んでほしいと願っています。そのために、日常生活へ直結する興味深い課題(大)やキーワードを常に設定し、掲示しておきます。すると、授業では解決に繋がる生徒の自然な気付きを促すことができます。(課題設定の工夫)

課題(大)の解決を目指し、パフォーマンス課題(小)に挑戦&ルーブリックで自己評価 & 気付きを記録

写真:学びの積み重ね
学びの積み重ね

 課題(小)は既習事項を活用して解決できるものであり、課題(大)の解決に繋がるヒントが含まれています。生徒は課題(小)に挑戦した後、ルーブリックで3 段階の自己評価を行い、客観的な達成度の振り返りや課題(大)の解決に繋がる自分なりの気付きを記録しました。そして、次の授業で再度同じ課題(小)に取り組むことで、全体の86%の生徒の点数が向上しました。(知識・技能の習得)

抱いた疑問は「理科の見方・考え方」を働かせ、生徒自身で解決

写真:授業中の筆者
授業中の筆者

 記録中にある「なぜだろう」の疑問を積極的に取り挙げ、生徒自らが仮説を立てて探究し、振り返る過程を大切にしました。写真は、「電子授受量は電解液に触れる金属の表面積の大きさで変わるのではないか」という生徒の仮説を実験で確かめている様子です。大きな電気を作り出す工夫について、それぞれが仮説を立てて実験を行いました。すると、「電子」をキーワードに全体の82%の生徒が質的・実体的な視点で結果を分析し、関係性を見いだすことができました。(思考力・判断力・表現力等の育成)

単元学習前後の解答に大きな変容が

写真:課題(大)に対する解答の変容
課題(大)に対する解答の変容

 生徒が毎時間の課題(小)の学びを積み重ね、粘り強く課題(大)に挑戦した成果と言えます。単元学習前後で、自分自身に大きな変容を感じた生徒は全体の90%でした。(学びに向かう力・人間性等の涵養)
 今回の実践では、生徒が単元全体に見通しをもち、理科の見方・考え方を働かせながら主体的に探究する過程を実現することができました。そして、3つの資質・能力を育むことに繋がりました。身近な疑問を自らの力で探究し、科学的に解決を目指す過程こそ理科の本質であると確信しています。


 実践NOTE535は以上です。

実践NOTE536

診断的評価を活用して授業改善へ

静岡県立掛川西高等学校 教諭 山﨑 一憲

はじめに

写真:筆者の授業風景
筆者の授業風景

 評価には、診断的評価と形成的評価、総括的評価があります。授業前の生徒の学力状況を測る診断的評価を授業改善に役立てている例を紹介します。

単元を見通した診断的評価

写真:診断的評価を記入する振り返りシート
診断的評価を記入する振り返りシート

 新しい単元に入るときには、その単元を通じて活用する振り返りシートの最初の欄に、その単元に関わる質問をいくつか記入しておき、“今現在知っていること”を答えさせます。学習前なので、勘違いしていたりあいまいだったりする内容も見受けられます。例えば、生態系に関する単元では「生態ピラミッドについて知っていること」を答えさせます。すると「生態ピラミッドの上位ほど個体数が多い」と記入する生徒がいます。このような生徒の勘違いを事前に把握することで、「一般的には上位ほど個体数が少ないが、木に付く毛虫のように上位の個体数が多い例もある」ことに気付くような授業展開を組み立てることができます。

授業当日の診断的評価

写真:授業前(左)と授業後(右)の生徒アンケート結果
授業前(左)と授業後(右)の生徒アンケート結果

 生徒が勘違いしている事柄に私自身が気付くために、授業開始時にロイロノートのアンケート機能を使って、その日の授業に関する問いを○×形式や選択形式で質問します。クラス全体の結果は、すぐに黒板に投影します。生徒は、自分の予想と違っている考えの存在に気付くと、思い思いに考えを述べ合い始めます。私の解説前に、勘違いしていたことに気付いてしまうこともあります。主体的に会話が始まり、自分たちで解決してしまうのです。また、授業終わりには、全員正解を目指して最初と同じ問いかけをします。

最後に

写真:診断的評価直後の生徒の様子
診断的評価直後の生徒の様子

 授業開始時のアンケート調査では、全員一致するだろうと思った質問の回答が半数ずつになったり、思いもよらない勘違いをしている生徒がいたりすることもあります。そのようなときは、急遽、頭をフル回転させてその場で授業展開を練り直すことになります。AI に授業展開を相談する暇もありません。でも、それが授業のやりがい、腕の見せ所でもあるのかな、と思っています。これからも、目の前にいる生徒の実態に合わせた授業づくりに取り組んでいきたいと思っています。


 実践NOTE536は以上です。

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