キャリア・パスポートを活用したキャリア教育

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ページID1076730  更新日 2025年9月16日

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1.キャリア教育とは

 キャリア教育とは、子どもたちが「今学んでいること」と「将来の自分の生き方」や「仕事」とのつながりを意識しながら、自分の人生を自分で切り拓いていく力を身に付けるための教育です。特別活動を中心にしながら、教科や学校活動の中で、計画的に進めていくことが求められています。

 ここでいう「キャリア」とは、「人が生きていく中で、さまざまな役割を経験しながら、自分とその役割の意味を見つけていく過程」のことです(※中央教育審議会より)。つまり、キャリアは自然にできあがるものではなく、子どもたちは、成長する段階ごとに必要な支援を受けながら、少しずつ積み重ねていくものです。

 そのため、学校では子どもたち一人一人が将来自立して社会で生きていくことができるよう、発達段階に応じた教育を行い、キャリアの発達を支えていくことが大切です。

※中央教育審議会(平成23年1月31日)

 キャリア教育は、子どもたちの成長に合わせて段階的に行うことが重要です。小学校・中学校・高等学校のそれぞれで、キャリア発達のポイントが異なります。

キャリア発達のポイント
小学校段階 進路の探索・選択にかかる基盤形成の時期

 ・自分や周りの人への関心を育てる

 ・仕事や社会への興味を持つ

 ・自分の将来について希望を持つ

 ・働くことや努力の大切さを理解する

中学校段階

現実的探索と暫定的選択の時期

 ・自分のよさや強みに気づく

 ・興味に基づいた職業への考えを持つ

 ・進路について考え、進路実現に向けた計画を立てる

 ・将来の生活や仕事について現実的に調べる

高等学校段階

現実的探索・試行と社会的移行準備の時期

 ・自分のよさや強みに気づく

 ・興味に基づいた職業への考えを持つ

 ・進路について考え、進路実現に向けた計画を立てる

 ・将来の生活や仕事について現実的に調べる

参考:国立教育政策研究所生徒指導研究センター『児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進について』

 

 

2. 高等学校段階においてキャリア・パスポートの活用により期待されること

 学習指導要領では、生徒が学校や家庭、地域での体験を振り返りながら、将来の生き方について考えられるようにすることが大切であるとされています。その際に使われるのが「キャリア・パスポート」です。

 これは、生徒が自分の活動を記録し、その記録を通して成長を実感したり、将来の目標を見つけたりするための教材です。単なる記録帳ではなく、キャリア教育を実践するための大切な教材です。これを活用した高等学校での事例を紹介します。

事例1

 キャリア・パスポートを活用することで、学校行事や教科の学びと、将来の生き方とのつながりを生徒自身が意識することが期待できます。例えば、学校行事に取り組む前に「どんな力を伸ばしたいか」を考え、終わった後に「何ができるようになったか」を振り返ることで、生徒は自分の成長に気付くことができるようになります。

学校行事シートの画像
「学校行事シート」

 総合教育センター令和6年度長期研修員・松本 剛教諭の研究では、「学校行事シート」を使って、行事を通じてどんな力が育ったかを生徒自身が記録することで、より深い学びが得られるという実践がありました。

 各活動においてどのような目標を持って取り組み、どのような力が付いたかを確認して、次の活動につなげることができます。教員にとっても、生徒の成長の様子を把握しやすくなり、個別の支援にもつながります。

研究概論 松本教諭

事例2

 キャリア・パスポートは、生徒のキャリア形成の「道のり」を記録していくことができます。これにより、生徒は成長の連続性を意識しながら、各活動に取り組むことができるようになります。

修学旅行事前質問の例

 総合教育センター令和6年度長期研修員・榑林正晃教諭の研究では、Google Formsを使ったキャリア・パスポートの活用を通じて、「したいこと・学びたいこと」、「できること・向いていること」、「意義を感じること」の項目を中心に生徒が活動を記録し、振り返る取組を行いました。この取組により、生徒は自分の成長や変容に気付き、自己理解を深めていきました。教員にとっても、ICTを活用することで、生徒の記述内容を把握しやすくなり、生徒理解や面談にも活用できます。

研究概論 榑林教諭

事例3

グーグルサイトを活用したキャリア・パスポートの例
Googleサイトを活用したキャリア・パスポートの例

 キャリア・パスポートは、生徒にとっては自分を見つめ直す教材であり、教師にとっては生徒を理解する重要な資料でもあります。キャリア・パスポートを活用しながら、振り返りを重ねることで、生徒は、自分の成長を実感し、将来への意欲につなげることができます。

 清流館高校では、Googleサイトを活用して、生徒一人一人のキャリア・パスポートをネットワーク上で作成する取組を行っています。

 生徒は、高校3年間を通して、学校行事や教科での学びにおいて目標を立て、実践後に振り返りを記録します。このサイクルを繰り返すことで、自分の成長を可視化し、自分らしいキャリアを形成しています。

 

参考:国立教育政策研究所教育課程研究センター『学校文化を創る特別活動【中学校・高等学校編】』 

3. キャリア教育のさらなる充実のために

今まで行ってきた教育活動をキャリア教育の視点でつなげる

 キャリア教育の充実のためには、今取り組んでいる教育活動を、キャリア教育の視点でつなげていくことが大切です。

 その活動でどんな生徒を育てたいか、どんな力を育成したいかを一つ一つ明確にできれば、つなげることは難しくありません。そのつながりは、生徒のキャリア形成に大きく寄与します。

意図的・計画的・組織的にキャリアパスポートの効率的な活用

 キャリア・パスポートなどで自分自身との対話や、教員との対話から得られたたものは、生徒にとって大切な財産になります。

 それらをさらに効果的に活用して、生徒が自身の学びや生き方を振り返り、これからの学びや生き方に見通しを持つことに、ぜひ、つなげていきましょう。

このページに関するお問い合わせ

教育委員会教育政策課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3168
ファクス番号:054-221-3561
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